SAPのクラウド導入には、なぜ統合プロセスを実行するためにセキュアでサポートがついたオンプレミスのエンタープライズKubernetesインフラが必要なのか? | SUSE Communities

SAPのクラウド導入には、なぜ統合プロセスを実行するためにセキュアでサポートがついたオンプレミスのエンタープライズKubernetesインフラが必要なのか?

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SAPをオンプレミスで実行する場合、このビジネスクリティカルなアプリケーションを実行するために、エンタープライズサポートのついたSAP認定のLinux環境が必要であることを疑う人はありません。しかし、コンテナベースの新しいSAP Integration Suiteコンポーネントをオンプレミスで実行する必要がある場合についてはどうしょうか。このブログではSUSEのRancher PrimeのようなエンタープライズサポートのついたKubernetesが必要な理由と、スタンドアロンのKubernetes環境を検討すべき理由を説明します。

 

進化を続けるSAPクラウドの導入において、セキュアなKubernetesインフラストラクチャの役割と、オンプレミスの統合コンポーネントを実行する必要性という2つの基本的な検討事項が浮上します。Rancher Primeに含まれるSUSEのRancher Kubernetesは、統合コンポーネントを実行するための最初のオンプレミス対応のエンタープライズKubernetesプラットフォームの1つとしてSAPによって選択されました。以前SAPがSAP Data Intelligenceで行ったように、SUSEはSAPのコンテナベースのソフトウェアを実行する、信頼できるKubernetesプロバイダーとして再びデフォルトで選ばれました。この事は、統合レイヤーの重要性とそれをサポートするプラットフォームについて、深く掘り下げるよう促しています。

SAP Edgeの統合セル:データとアプリケーションを安全に保つ

この議論の中心にあるのは「SAP Integration Suite」で、SAP Integration Suiteには、「SAP Edge Integration Cell」と呼ばれる極めて重要なオンプレミスコンポーネントがあります。この統合ソフトウェアは、オンプレミスのアプリケーションとデータを、進化の続くSAP Cloudとシームレスに接続する要として機能しています。クラウドとオンプレミスアプリケーション間の直接の接続を避けることで、ブログ「Edge Integration Cellで機密データをオンプレミスに保持」で説明したように、データの機密性を保護し、オンプレミス運用のセキュリティを確保します。この相乗効果は、SAPの戦略的なクラウドベースのソリューションへのシフトと完全に合致しており、オンプレミス運用の整合性を維持しながらSAPの未来を受け入れることができるようになります。

大切な質問:あなたのビジネスにとってSAP統合はどの程度重要ですか?

ビジネスにとっての SAP Cloud 統合の重要性を考える場合、次のことを考えてみてください: SAP Cloudと請求システムや工場との接続が中断されたらどうなるでしょうか。答えは明らかです。SAP統合レイヤーがダウンしたら、ビジネスは停止します。しかしダウンタイムの発生は許されません。ではKubernetes環境が危険にさらされ、ハッカーに侵入されたらどうなるでしょうか?セキュリティはオプションではないことがお分かりいただけるかと思います。これらの疑問は、他のSAPソフトウェアと同様に、エンタープライズサポートの付いているソフトウェアプラットフォームを選択することの重要性を強く示しています。このようなプラットフォームは、インシデントを迅速に解決し、ビジネスを中断させないために不可欠です。オンプレミス環境について言えば、Rancher PrimeでサポートされるSUSEのRKE2(Rancher Kubernetes Environment)だけが、今日必要とされるエンタープライズグレードのサポートを提供します。システムの信頼性を確保するには、この統合レイヤーを実行するためのエンタープライズ対応のセキュアなプラットフォームの選択が最も重要になります。豊富な経験を持つSUSEは、この重要なSAP環境を十分サポートする体制があります。SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsが長年SAP HANAをサポートしてきたように、Rancher Primeは必要なインフラストラクチャを提供します。

SAP Edge Integration Cell running on Rancher by SUSE

SAPプロジェクトで独自のKubernetes環境を使用するべき理由

SAPクラウド統合の多面的な世界について考えるとき、もう1つの極めて重要な課題が浮かび上がります。それは、SAP部門内に独自にRancher Kubernetes環境をデプロイする意義です。

コンテナ化された世界でのSAP統合

他の多くの最新アプリケーションと同様に、SAPのIntegration Suite向けの新しいEdge Integration Cellは、Kubernetesベースのコンテナ管理環境向けに設計され、その上で動作します。とはいえ、既存の汎用のKubernetes環境は、可用性、ライフサイクル、セキュリティの面でSAP運用に適したアーキテクチャを持っていない可能性があるため、SAP Integrationに既存の企業のKubernetes環境を利用することは、必ずしも最適なソリューションになるとは限りません。さらに、すべてのKubernetesプラットフォームがSAP統合コンポーネントのホストとして認定されているわけではないので、新しいEdge Integration CellのようなビジネスクリティカルなSAPソリューション向けて、テストされ信頼されるソリューションが必要になります。

この様に、SAP統合レイヤーに向けてのKubernetes環境を決める前に対処すべき課題がありますが、そのうち最も関連性の高いもののいくつかを挙げてみます:

SAPプロジェクトの遅延を回避し、SAP環境をコントロールする

企業のKubernetes環境は通常、SAPプロジェクトを担当する部門やパートナーとは別のIT部門の管轄下にあります。このような部門の違いは、これらの異部門間の協業やその調整の必要から、プロジェクト進行の遅れにつながる場合があります。SAPに向けた専用のKubernetes環境の整備は、SAP Integrationプロジェクトの遅延を回避し、コントロールを強化するのに役立つ可能性があります。

統合レイヤーの重要性

SAP Integration Suiteは、機密データを扱う重要なSAPアプリケーションと企業の非SAPアプリケーションを接続する上で中心的な役割を果たします。多くの企業のKubernetes環境はマルチテナント設定であり、何千ものコンテナを監視し、それぞれがセキュリティ対策とサービスレベルアグリーメント(SLA)の対象になっています。残念ながら、この複雑な構成においては、SAP統合レイヤーのクリティカリティやセキュリティの要件を満たせないことが多く、また、企業環境における変更の管理も容易ではありません。

エッジを含むあらゆる場所でアプリケーション環境に近づける

「SAP Edge Integration Cell」とそれをサポートするインフラを検討するのには大切な理由があります。それは、それに接続されているアプリケーションに近いことです。この近接性には、工場などのエッジ環境を含むさまざまな場所が含まれます。これらには、その環境に適合する柔軟なKubernetes環境が必要になります。Rancherは、他の多くのエンタープライズKubernetesソリューションに比べてアーキテクチャがコンパクトで、エッジからエンタープライズグレードのデータセンターまで、より幅広いシナリオとトポロジーをカバーできるため、このアプローチは理想的な選択肢になります。

エッジ環境のようなマルチサイトのシナリオでは、Rancher Management Serverを追加していくことで、複数のロケーションをシームレスに一元管理できるようになります。さらに、SUSEのHarvester仮想化ソリューションは、Rancher Kubernetesクラスタを実行するエッジロケーションに仮想化環境のアプライアンスを展開できるようにして、SAPプロジェクトを強化します。Harvesterによる仮想化アプライアンスは、どんな仮想化ニーズでも効率的に変換し、SAPプロジェクトに必要な仮想化リソースを柔軟に割り当てることができます。

SUSEのRancher Prime: 管理の合理化

この課題を克服するには、SAPプロジェクトのためにSAP部門内に専用のシンプルなKubernetes環境をデプロイすることがキーのソリューションになります。この専用環境は、必要なSAPコンポーネントが効率的に実行されるよう設計された専用アプライアンスのように動作します。

この複雑な状況において、SUSEのRancherソリューションは、SAP環境のデプロイ、管理、およびセキュリティを迅速かつ簡素化するために、それに必要なツールとサポートを提供します。このアプローチにより、SAPプロジェクトのペースを維持し、SAP運用に必要な重要なSLAを満たし、事業継続性を確保し、そして最も重要なこととして、SAP認定プラットフォーム内で運用することができます。業界標準とベストプラクティスとの整合性により、SAP環境の効率性とセキュリティが確保されます。

まとめ:

オンプレミスのプロセスをクラウドと統合することは、選択の問題ではなく、中断なくビジネスを運用していくために必要なことなのです。これらの統合レイヤーを実行するためには安全で信頼性の高いプラットフォームを選択することが、成功の鍵となります。SUSEのRancher Primeを利用する事で、重要なSAP環境を保護し、変化し続けるSAP環境に対応するのに必要な経験、インフラ、ツールを手に入れることができます。進化し続ける環境の中で戦略的な決断を下すことで、効率的なSAP管理手法、揺るぎないセキュリティ、業界標準へのコンプライアンスへの道が開かれ、SAPクラウド時代に向けて組織を成功に導くことができます。

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Sebastian Martinez
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Sebastian Martinez   25+ years of experience in the tech industry and enjoying searching for creative solutions and staying up-to-date with technology trends.