エネルギー業界がマネージドコンテナで進化

ハイライト

  • ソリューションの市場投入までの時間を短縮
  • アウト・オブ・ザ・ボックスのエッジ管理サポート
  • 数千マイルにおよぶパイプラインを単一画面から監視
  • エネルギーコストと有害排出物を削減
  • 顧客のニーズに合わせて、セキュリティとプライバシー設定を簡単にカスタマイズ

製品

世界有数のエネルギー技術企業であり、約10万人の従業員を擁するこの企業は、世界中の数千社もの顧客にサービスを提供しています。この企業内のプロセスソリューション部門は、お客様に革新性のあるカスタマイズされた自動化およびデジタル化サービスを提供しています。オープンソース技術を基盤とするこれらのソリューションは、プラントの運用を最適化し、メンテナンスの頻度を減らすだけでなく、一部の関連組織が遠隔操作や完全自律型プラントに移行する上でも役立っています。
最終的には、これらのカスタマイズされたソリューション(技術、ビジネスモデル、パートナーシップにおける継続的なイノベーション)は、あらゆるレベルで事業における脱炭素化を支援します。地球温暖化を考慮すると、これはこれまで以上に重要です。2022年には、世界のエネルギー使用量の37%が製造業によるものであり(国際エネルギー機関)、世界の二酸化炭素(CO2)排出量の大部分を占めています。
Kubernetes、Rancher Prime、K3sは、これらのソリューションにおいて中心的な役割を果たし、エネルギー事業者が持続可能な方法で信頼性の高いエネルギー供給をよりスマートかつ効率的に運用する仕組みの開発を可能にします。

概要

エネルギー業界は急速に変化しています。各企業は、化石燃料をベースとしたエネルギーの生産と消費から、より持続可能な未来へとシフトしようとしており、その動きは最新のテクノロジーの利用によって加速されています。持続可能で効率的な未来の創造に向けて着実な歩みを進めている大手エネルギー企業は、Rancher PrimeとKubernetesを採用し、未来の自律型プラントの構築に取り組んでいます。オープンソースの活用により、レガシープロセスをクラウドに移行することで環境面でのメリットがもたらされるだけでなく、オープンソースは、これまで以上に多くの顧客を管理するためのシステムの拡張と強化にも役立っています。

KubernetesとRancher Primeを導入するまでの道のり

デジタル組み込みソリューションチームの責任者によると、このエネルギー企業は常にオープンソース技術を好んできました。オープンソースにより、同社はスケールとスピードを重視した開発ニーズをサポートするマイクロサービスアーキテクチャを採用することができました。
2018年には、同社は(オープンソース技術を使用して)顧客のプラントのデジタルツインを作成するためのデジタル化ソリューションの開発を開始しました。このデジタルプラントのコピーは、運用とシステムの最適化を支援し、メンテナンス間隔を延ばします。

このオープンなアプローチは、2020年に共通ツールボックスを作成する際にも中心的な役割を担いました。共通ツールボックスにより、同社は一貫した共通の方法論でさまざまな市場に対応できるようになりました。
この共通ツールボックスを開発するために、同社は規模の大小に関わらず、数多くの顧客のインストールをサポートでき、かつクラウドネイティブでマイクロサービスベースのシステムを構築できるシステムを必要としていました。コンテナ技術に関する最先端のレポートに後押しされ、同社はKubernetesのコミュニティ版を採用し、オーケストレーションにはシンプルなDocker Composeを使用しました。

しかし、ほどなくして、社内にKubernetesの専門家がいないため、複雑なインフラストラクチャの維持にサポートが必要であることに同社は気づきました。 さまざまなKubernetes管理ソリューションを評価した結果、コスト、オープンソースへの取り組み、エンタープライズサポートの充実度(Kubernetesの領域で経験が浅い組織にとって重要な要素)を理由に、同社はRancher Primeを選択しました。

「私たちは、Rancher Prime を採用することを決めました。なぜなら、本質的にオープンソースであり、エンタープライズサポートが充実しているからです」と、エンタープライズアーキテクトであり、共通ツールボックスの作成者である同氏は語ります。「これは、まさにゲームチェンジャーでした。それが、私たちが Rancher Prime を採用した理由です」

2020年6月、チームは Rancher Prime を使用した8か月にわたる POC を開始し、オーケストレーションプラットフォームが自分たちに適しているという結論に達しました。「私たちは意思決定に多くの労力を費やすことがよくありますが、今回はチームとしてすんなりと合意できました」とデジタル組み込みソリューションの責任者は語ります。

技術的な観点から、エンタープライズアーキテクトは、Rancher Primeのすぐに使えるエッジ管理サポートも大きなセールスポイントだったと付け加えています。この自動化機能により、エンジニアリング作業を一切必要とせずにKubernetes環境をセットアップすることができました。

顧客のレガシープロセスをより効率的なクラウドベースのモデルに移行させるため、このエネルギー企業は、Rancher Kubernetes Engine(RKE)と併せて、エッジでもK3sを使用しています。K3sは、無人、リソース制約のある遠隔地、またはIoT機器内で稼働する本番ワークロード向けに設計された、優れた可用性と検証済みのKubernetesディストリビューションです。この組み合わせにより、パイプライン全体にわたって、より高い透明性と可視性を実現します。

「通常、大手の石油・ガス企業では、企業ネットワーク内またはデータセンター内ですべてが処理されます。そのため、デジタルソリューションを実行するクラスターを構築します。そして、Rancher Prime サービスをオンプレミスで実行し、顧客のデータセンターに展開されたソリューションを管理します」と、この企業のアーキテクトは述べています。「石油・ガス業界の顧客は、多くのデータソースを持っていますが、部署間の政治的な障壁があります。これが、当社のデジタルソリューションで対応している課題です」

「Rancher Primeはオープンソースかつクラウドに依存しないため、オンプレミス環境であっても、あらゆる顧客環境に共通のツールボックスソリューションを実装することができます」

Rancher PrimeとK3sで実現したこと

未来の自律型プラントの構築

エネルギー企業のデジタルプラットフォームは、コアからエッジまで Kubernetes を使用しており、産業プロセス業界に革命をもたらしています。例えば、ガスおよび石油業界では、同社のカスタマイズされたソリューションは、顧客の業務の最適化とメンテナンスの削減に役立つだけでなく、オンプレミスのシステムの制限や政治的な障壁により、これまで達成できなかったレベルの透明性を組織に提供しています。石油・ガス大手企業は、数千マイルにおよぶパイプラインを以前には不可能だった方法で監視できるようになりました。その結果、合理化と自動化を通じてエネルギーコストと有害物質の排出量を削減しています。

適切なペースで規模を拡大

自社組織内で Kubernetes と Rancher Prime を使用することで、同社は急速に進化する業界に後れを取らずに成長を続けています。Kubernetes のおかげで、同社はインフラストラクチャを拡張し、より適切に管理するために必要な機能を手にすることができました。また、マイクロサービスベースのアーキテクチャのメリットを以前から認識していた同社は、Kubernetesによって、競争力のあるソフトウェア製品やサービスを顧客に迅速に提供するための既製のコンポーネントを再利用できるようになりました。最終的には、Kubernetesのオープンソースの性質とRancher Primeのオンハンドサポートを組み合わせることで、同社は継続的デリバリーへの移行が可能になりました。

非効率なレガシープロセスからの解放

Kubernetesの導入により、同社自身のビジネスワークフローを変革できただけでなく、同社の顧客である製造業各社も、レガシープロセスをクラウドへと移行することができようになりました。 これらの企業の多くは厳しい要件を課していますが、Kubernetesをベースとする共通のツールボックスにより、組織のデジタルプラットフォームを容易に拡張し、さまざまな業種にわたって再構築することが可能になります。KubernetesとK3sを使用することで、同社は石油、ガス、海洋、繊維の各業界で標準コンポーネントを使用しながら、プライバシーやセキュリティに関する設定を簡単にカスタマイズできるようになりました。

環境面でのメリット

同社がKubernetesへの移行において最も重視した要素のひとつが持続可能性でした。なぜなら、同社はお客様の二酸化炭素排出量の削減と、より持続可能なエネルギーの提供を使命としているからです。同社のソリューションは、大手企業が自律化された未来へと移行するのを支援することで、業務の合理化、メンテナンス頻度の削減、そして最終的には遠隔操作による有害な二酸化炭素排出量の削減に貢献しています。
 

「これは、業務の最適化、エネルギー消費の削減、エネルギー費の増加につながる可能性のあるダウンタイムの予測と密接に関連しています」と、デジタル組み込みソリューションの責任者は語ります。「また、私たちは持続可能な取り組みにも積極的で、例えば加水分解を利用しているプラントをサポートしています。これは、エネルギー、エネルギーの節約、システムのモニタリングに関する新しい事業分野です」

今後の展望

このエネルギー会社は急速に規模を拡大しています。同社のデジタル化ソリューションは、当初は1つの製紙工場に導入されたものですが、今では30以上の工場に展開されており、特に光ファイバー業界で広く受け入れられています。この企業は、カスタマイズされたソリューションを、業界内のより多くのお客様に提供することを目指しています。

同社のオープンソースのアプローチは、自社組織全体に変革をもたらすことにも役立っています。同社は、組織の枠を超えたボトムアップの協力を促進し、社内全体でソフトウェアの調達と処理をさらに加速させるためにオープンソースを活用する計画であると述べています。また、将来的なニーズを満たすために、オープンソースプロジェクトにも取り組んでいます。