スタイルズ社がRancher Primeを使用し、製造業における設備や品質の高精度な異常検知システムの支援を実現

ハイライト

  • コンテナ化セットアップの効率を40%向上
  • 広範囲に分散されたアプリケーションの容易な管理を実現
  • 拡張が容易なため、多数のエッジデバイスを容易に展開可能
  • モジュール化と自己回復ソフトウェアにより中断のない工場稼働を支援
  • 技術者が付加価値の高いソリューションの開発により多くの時間をかけられる

製品

東京を本拠とする株式会社スタイルズは、産業および電子機器メーカーにJavaアプリケーションとオープンソースソリューションを提供しています。親会社である菱洋エレクトロ株式会社は、NVIDIA®JetsonTMエッジコンピューティングデバイスの日本における最大のサプライヤーです。

概要

株式会社スタイルズは親会社である菱洋エレクトロ株式会社と連携し、Rancher Primeを使用して、グローバルな自動車部品メーカーのAIによる組立てラインの効率化をサポートしました。このAIソリューションにより、手のひらサイズのエッジコンピューティングデバイスを使用してリアルタイムで映像情報を分析し、工場内を移動する部品に対して欠陥の有無をスキャンできるようになります。

コンテナ化への過程

他の多くの国々と同様に、近年日本の雇用市場においても人材争奪戦が激しさを増しています。しかし、日本はより重大な構造的課題を抱えています。その人口ピラミッドは底が縮んだ壺形で、定年退職者の割合が高くなっています。また、同国は出生率と移民率が相対的に低く、労働人口は2040年までに20%も減少することが予測されています。 (World Economic Forum, 2019年2月12日)

能力の高いスタッフへのアクセスが制限されることに関連する課題に取り組むお客様を支援するために、スタイルズ社と菱洋エレクトロ社は、インテリジェントな自動化およびオーケストレーションソリューションを積極的に推進しています。これらは、通常年中無休で生産ラインの円滑な稼働を維持することが不可欠な製造業において、特に重要です。生産停止は通常、大きくコストに影響するため、メーカーはテクノロジーの活用に積極的です。

最新のエッジコンピューティングテクノロジーは、AI支援のソリューションをより容易に生産ラインにもたらすことができます。これらのソリューションは、ライブ映像の分析を通じて生産品の品質を検査することができ、相互接続されて人の手による操作がほとんど、あるいはまったくなくても稼働できるスマートファクトリーを形成することができます。

しかし、生産品質をモニタリングすることができるエッジデバイスの作成は理論的には比較的容易であるものの、いくつもの工場内でこれらのデバイスを数多く展開し、稼働させることは容易ではありません。デバイスやアプリケーションが不安定だったりすると、製造の中断につながり、大きな損失に繋がります。デバイスは極端な熱や振動に高い耐性を備え、アプリケーションは高速で手軽なアップグレードパスを提供し、現地メンテナンスの必要性を最小限にする必要があります。

大手自動車部品メーカーから工場内でのAI支援型品質検査ソリューションについてスタイルズ社と菱洋エレクトロ社が相談を受けたとき、スタイルズ社はコンテナ化されたアーキテクチャが最適であると判断しました。

スタイルズ社のエキスパート、矢野哲朗氏は、次のように語っています。「コンテナ化は、複数の物理ホストに柔軟にアプリケーションを展開する必要がある産業用アプリケーションにおいて、今や事実上の業界標準となっています。コンテナオーケストレーションプラットフォームとして、Kubernetesはすべてのコンテナと構成情報を一元的に管理する場所を提供します」

「Rancher Primeを使用することで、Vanilla Kubernetesと比較して、コンテナ化セットアップの効率が40%も向上されたと推定しています。これは、構成にかける時間を短縮し、お客様の課題解決により時間をかけることができ、当社の技術者たちがより多くの価値を提供するための時間を持てるようになったことを意味しています」

Rancher Primeを選ぶ理由

スタイルズ社が、定評のある業界リーダーからの長期サポートに裏打ちされたKubernetesディストリビューションを求めたことには、主に2つの理由があります。第一に、チームがKubernetesの深い専門知識を身につける必要のない、迅速な展開の達成を目指したためです。そして第二に、お客様の工場内で、可能な限り最高レベルのエッジコンピューティングソリューションの可用性を実現できるよう確約したかったためです。

矢野氏は、次のように述べています。「Rancher Primeは包括的な製品です。Kubernetesの使用を簡素化し、熟練スタッフや集中トレーニングの必要性を低減します。Rancher Primeはコンテナオーケストレーション導入のハードルを下げることができます」

スタイルズ社は、AIによる目視検査テクノロジーをコンテナ化し、Rancher Primeを通じて自動車部品メーカーがそれを展開しました。コンテナ化されたソリューションは、AIワークロードの高速処理を実現する強力なGPUを搭載した手のひらサイズのNVIDIA® Jetson XavierTM NXエッジデバイス上で稼働します。これらのデバイスは比較的低コストであり、Rancher Primeによる大規模なコンテナセットの効率的な管理と組み合わせることで、その自動車部品メーカーが膨大な数を工場内における多段階の組立ライン全体に展開することを可能にしています。

菱洋エレクトロ社ソリューション第5ビジネスユニット次長、中村武士氏は、「当社のソリューションは、工場の現場で、品質検査、機器のモニタリング、スループットのデータ収集を確実に実行します」と述べています。

Rancher Primeの効果

生産ラインを止めない

スタイルズ社と菱洋エレクトロ社によって構築されたAI主導の品質検査ソリューションは、このお客様による未来のスマートファクトリーというビジョン達成を支援しています。このソリューションは、工程を通過する部品の欠陥をスキャンし、AIを利用して生産ラインを監視しているカメラからのライブ映像を分析し解釈します。

Rancher Primeの自動負荷分散機能と自己回復機能により、このソリューションは中断なく高い信頼性で動作し、自動車部品メーカーによる「止まらない」生産能力の推進を支援します。

同自動車部品メーカーの担当者は、次のように述べています。「NVIDIAエッジデバイスで稼働するRancher Prime環境により、私たちは欠陥ゼロ、生産の中断がない完全自動化という目標実現に一歩近づきました」

レジリエンス、モジュール式、自己回復

広範囲に分散されたエッジデバイスの一元管理を促進するために、スタイルズ社は品質検査アプリケーションのロジックを個別のコンテナに分離しました。これにより、同社はシステム全体を停止させることなく、更新やアップグレードを個別の機能に適用できるよう確約します。また、このソリューションはハードウェア障害に対するレジリエンスを備えています。この自動車部品メーカーは、安価なNVIDIAエッジデバイスを数多くスタンバイさせておき、生産ライン上の既存のデバイスを置き換える準備が整っています。

中村氏は、次のように述べています。「デバイスが故障しても、お客様はそれをスペアで置き換えるだけで、Rancher Primeがネットワークを介して自動的にアプリケーションを復元します」

効率的な展開

SUSEからの迅速なサポートに支えられたスマートファクトリープロジェクトですが、これまでに大きな問題や中断は起こっていません。Rancher Primeを使用するという決定は円滑な展開に貢献しており、スタイルズ社はすぐに全力で取り組み、展開に要する時間を短縮しています。

矢野氏は、次のように述べています。「Rancher Primeを使用することで、Vanilla Kubernetesと比較して、コンテナ化セットアップの効率が40%も向上されたと推定しています。これは、構成にかける時間を短縮し、お客様の課題解決により時間をかけることができ、当社の技術者たちがより多くの価値を提供するための時間を持てるようになったことを意味しています」

スタイルズ社の次のステップは?

自動車部品メーカーの工場におけるエッジデバイスの展開を継続する一方で、スタイルズ社と菱洋エレクトロ社は、AI支援型エッジソリューションの案件を他の産業分野でも展開しています。
Rancher Primeにより、回復力のあるソフトウェアの多数のデバイスに対する導入と管理が比較的容易になります。このため、人的資源が減少する中でも、それぞれのお客様がより多くの目標を達成するための支援により多くの時間と労力を集中させることができます。