Rackspace社—SUSE®を使用して複数のLinuxプラットフォームを管理およびサポート Logo
業種: Technology
所在地: United States

Rackspace

ハイライト

Red Hat Enterprise Linux 4のサポートが終了した際、Rackspace社は複数のLinuxプラットフォームに対応する柔軟なソリューションと、お客様に提供するFanatical Support®の強化を支援してくれるプロバイダを必要としていました。そして、マルチLinuxディストリビューション機能を提供しているのはSUSEだけでした。

概要

RACKSPACE社について

Rackspace® Hosting社(NYSE: RAX)はハイブリッドクラウドのグローバルリーダーであり、クラウド向けオープンソースOSのOpenStack®を開発したことでも知られています。 各自のITニーズに最適なインフラを整備するために、数多くの企業がRackspace社の製品ポートフォリオを活用して、パブリッククラウド、プライ ベートクラウド、専用サーバ、または複数のプラットフォームを組み合わせるなどして、最適な場所でワークロードを実行しています。同社の受賞歴を誇るFanatical Support®では、最も重要なアプリケーションを構築、導入、実行できるようお客様をサポートしています。Rackspace社はテキサス州サンアントニオに本社を置き、4つの大陸でデータセンターを運営しています。同社はFortune誌の100 Best Companies to Work For (最も働きがいのある会社ベスト100)に選出されています。詳細については、www.rackspace.comを参照してください。

課題

Rackspace社は、自分たちの力ではどうにもならない課題に直面することで、Fanatical Supportの提供能力を試されていました。同社は中小企業(SMB)や大企業を対象にクラウドサービスビジネスを展開しています。お客様の多くはLinuxバリアント(主にRed Hat Enterprise Linux (RHEL))を実行しています。2012年2月にRed HatがRHEL 4のサポート終了を発表した際、Rackspace社は、このプラットフォームを使用する多くのお客様が困難に直面することになるとすぐに気付きました。他の環境に円滑に移行するためには1~2年は必要になるからです。

Rackspace社は、このようなお客様にパッチ管理などのサポートを提供する必要がありました。同社はお客様のすべてのRHELバージョンの環境設定とパッチ管理にRed Hat Network Satellite を使用していました。しかし、このツールではRHEL ディストリビューションにしか対応できません。RHEL 4 ユーザのためだけに新しいパッチ管理ソリューションを追加すれば、システムの数が倍増し、IT の複雑性とコストが増大します。

そこでRackspace 社は、オープンソースのLinux 管理ソリューションであるSpacewalk に目を向けました。Red Hat Network Satellite はSpacewalk に基づいているため、Spacewalk を使用することですべてのRHEL バージョンだけでなく、CentOS (RHEL の無料バージョン)、openSUSE®、SUSE® LinuxEnterprise Server など、その他のLinux バリアントのパッチ管理にも対応できます。さらに、すべてのシステムを単一の画面で管理できます。

しかしSpacewalk にも制限があります。エンタープライズ向けに使用するためには、とりわけユーザインタフェースの開発と調整が必要でした。これには最低でも18 カ月が必要となるため、RHEL 4 のサービス終了までには間に合いません。また、たとえば特別な機能や環境設定(Rackspace 社が優れたサポートを提供するために必要とする高可用性環境など) に関するリクエストに対応するためのアドホックのエンジニアリングやサポートがオープンソースコミュニティから提供されることはありませんでした。つまり、Rackspace 社は柔軟なパッチ管理システムと、RHEL 4 を使用するお客様が移行を完了するまでサポートを延長してくれるプロバイダを必要としていたのです。しかも、システムとプロバイダのいずれもが、複数のLinux プラットフォームに対応できるものである必要がありました。

SUSEは柔軟性を備えた理想的なソリューションプロバイダです

SUSEソリューション

ソリューションパートナーとパッチ管理システムの特定Rackspace 社は、規模を問わず、Linux OS の開発に従事するすべての主要組織を検討しました。そして、共通のソリューションパートナーであるMicrosoft 社がRackspace 社にSUSE を紹介したのです。SUSE には、複数のLinux ディストリビューションをサポートできるサービス(SUSE Liberty Linux)も環境設定および管理システム(SUSE Manager) もありました。Spacewalk をベースとするSUSE Manager を使用すれば、Red Hat、Red Hat と同様のディストリビューション、そして独自のOS について、パッチを配信および管理できます。

さらに、SUSE がこの難題に挑む姿勢を見せたことも決め手となりました。「SUSE以外のほとんどの企業はこの難題に挑むことを望みませんでした。そして挑む姿勢を見せた数少ない企業も、複数のディストリビューションに対応するソリューションを提供することはできませんでした」とRackspace 社のプロダクトマネージャ、Aaron Conklin 氏は述べています。

6 カ月後、Red Hat がクラウドサービスプロバイダ向けの値上げを発表した際、SUSE という選択が正解だったことが改めて明らかになりました。Rackspace 社のお客様の多く( 特に中小企業) は価格に対して敏感でした。Rackspace 社は、RHEL の無料オープンソースバージョンであるCentOS にお客様を移行する案を考え付きました。もちろんSUSE Manager はCentOSにも対応しています。

「SUSE は自社のディストリビューションだけでなく、CentOS などのサポートについても、自社の管理ツールや環境設定ツールを提供する姿勢を見せてくれました。SUSE は柔軟性を備えた理想的なソリューションプロバイダです」

スケーラブルな高可用性実装

Rackspace 社は新システムの導入と知識の伝授をSUSE スペシャリストサービスに依頼しました。現在SUSE は、大規模拡張向けにカスタマイズされた新しいSUSE Manager 環境(いわば、SUSE Manager のためのSUSE Manager) を実装しています。Rackspace 社はSUSE Manager API を使用してハードウェアの登録や削除を行ったり、お客様を異なるチャネルに移行するための独自ツールを統合したりしています。

計画されていた世界規模のデータセンターのうち3つ( 米国、ヨーロッパ、アジア太平洋) が稼働を開始しました。残りは2013 年秋に稼働開始予定です。各データセンターには9 台のサーバがあります。SUSE Manager を実行するSUSE Linux Enterprise Server およびSUSE Linux Enterpr i se High Avai labi l i ty (HA) Extension が1 台ずつ、SUSE Manager プロキシサーバを実行するサーバが4 台、そしてOracle Real データベースを実行するサーバが3台です。これらのサーバには、デュアルソケットの6 コアIntel プロセッサおよび64 GB のRAMを搭載したDell 720 ( 大半)、810、820 を使用しています。

Rackspace 社の以前の環境ではスケーラビリティに問題があったため、新しいデータセンターはそれぞれ、最初の段階で30,000 のホストに対応できるように設計されています。Rackspace 社のFanatical Support の要件に応じて、SUSE スペシャリストサービスはSUSE Linux Enterprise High Availability Extension、SAN ストレージ、マルチパスI/O、クラスタへの対応およびフェールオーバー用にカスタマイズされたスクリプト、Tomcat アプリケーションコンポーネント向けに最適化されたJAVA メモリスタック、そしてTaskomatic プロセスを使用して、中断の発生しない環境を構築しています。

Rackspace 社のパッチ管理サービスを利用するお客様はこの環境に統合され、Rackspace 社は以前のパッチ管理システムと似たSUSE Manager インタフェースを使用してサービスを提供します。

「SUSE を選んで非常に満足しています」とRackspace 社の戦略的調達担当責任者、Tim Symchych 氏は述べています。

結果

Rackspace 社とそのお客様は、SUSE との関係性やSUSE ソリューションにより、次のようなメリットをすでに実感しています。

市場投入までの時間の短縮。Aaron Conklin 氏は次のように述べています。「Rackspace 社のチームがSpacewalk を開発、調整、市場投入するには18 カ月必要でした。しかし、SUSE Manager を使用して、SUSE スペシャリストサービスの協力を得ることで、導入期間を1 年は短縮できたと思います」。また、Spacewalk という共通の基盤を使用していることから、SUSE Manager とRed Hat 管理システムはユーザインタフェースが似ているため、Rackspace 社の従業員はトレーニングを短期間で簡単に済ますことができました。

Rackspace 社とそのお客様のコスト削減。Red Hat が値上げを実施したこともあり、SUSE の価格構造はRed Hat よりも低価格です。実際、Rackspace 社はRed Hat の新しいクラウド価格と比べて、大幅なコスト削減を実現しています。加えて、SUSE はサーバパッチ/ 管理を標準化するための統合Linux 管理インフラも低コストで提供しています。

IT 環境の簡素化と容易なサポート提供。SUSE Manager により、複数のLinux ディストリビューションのパッチ管理を行えるため、Rackspace 社が現在および将来にわたってお客様にサービスを提供するために必要となるパッチ管理システムの数を抑えることができます。その結果、Rackspace 社のサポートの生産性が向上し、単一の画面から複数のLinux ディストリビューションにサービスを提供できるようになります。

顧客満足度と競争力の強化。Rackspace 社のお客様の多くは、2 ~ 5 年以上同社のサービスを利用しています。同社は高品質のサービスを低コストで提供することで競争力を獲得しています。SUSE との関係性およびSUSE ソリューションにより、Rackspace 社は安定した価格のもと、信頼性の高い環境で、高品質のパッチ管理サービスを24 時間365 日体制で提供することが可能になりました。

Conklin 氏は次のように述べています。「SUSE Manager with SUSE Liberty Linux を本稼働してまだ3 カ月しか経過していませんが、マーケティング活動もほとんど行っていないにもかかわらず、すでに新規の管理対象/ 専用クラウドワークロードの50% 以上が、SUSE がサポートするCentOS を選択しており、エンタープライズクラスのSLA ( サービスレベル契約) を犠牲にすることなく、Red Hat から移行し、コストを削減しています」

Aaron Conklin 氏は次のように総括しています。「Rackspace 社の目標は、自社のデータセンター、競合他社のデータセンター、そしてお客様の施設など、世界中にFanatical Support を提供することです。当社にとって今後必要となるのは、さまざまな環境に対応できるSUSE Manager のようなツールなのです」