Phillips 66 社: デジタルトランスフォーメーション によるビジネス変革の実現

ハイライト

  • IT スタッフが、ビジネスの戦略的な力として 活躍
  • リモートで対応するサポート担当者を配置す ることで、大規模なシステムの実行が可能に
  • ビジネスへの影響を最小限に抑えながら、 迅速な対応と適宜市場状況に適応を可能に

140 年以上の歴史を持つPhillips 66 社は、さまざまなエネルギー製品とロジスティクスの企業として、世界中のエネルギーの需要に応えています。

概要

2020 4 20 日、史上かつて例を見ない、原油価格がゼロを下回るという事態が発生しました。操業を停止できない石油生産施設では、予測される需要よりも貯蔵タンクの在庫が増えるペースが速くなり、バイヤーに料金を支払って原油を引き取ってもらうことで損失を減らすことを余儀なくされました。市場の不安定さに悩まされることが多い業界にとっては大きな混乱でしたが、Phillips 66 社は、大半の企業よりもこの困難をうまく切り抜けることができました。その秘訣は、デジタル・テクノロジーによって実現するビジネスの変革です。

パブリッククラウドへの移行

2017 年にShawn Behounek 氏がPhillips 66 社に加わり、同社のデジタルトランスフォーメーションの立ち上げを推進しました。まず、AdvantEdge66 と呼ばれるデジタルトランスフォーメーション・プロジェクトの一環として、データセンター内のハードウェア上で実行されるアプリケーションを、パブリッククラウド上で実行できるように移行しました。

同社の年次報告書に記載されているように、「AdvantEdge66 は、テクノロジーを活用して、業務の運営方法、プロジェクトの実行方法、およびビジネス上の意思決定プロセスを変革する」プログラムです。この変革プログラムの目的は、同社の競争力を高めることです。利益率の向上、コスト削減、資本効率の向上を通じて、差別化されたパフォーマンスを提供できる会社としての位置付けを図ります。このプログラムは、13 億ドルの収益向上が見込まれ、IT 支出の再配分によって生まれた資金により費用が賄われます。

また、このプログラムを実施するには、今が 絶好のタイミングです。新型コロナウイルス によるパンデミックが発生したとき、AdvantEdge66 は開始からほぼ3 年が経っており、Phillips 66 社の準備は整っていました。Phillips 66 社は、クラウドで快適に実行できるアプリケーションにより企業の要件に対応し、リモートで対応するサポート担当者を配置して、大規模なシステムの稼働を続けることができました。

「当社が行ったことは、単なるデジタルトランスフォーメーションではなく、ビジネスの変革です。私たちは皆、「この変革に取り組んで良かった」と言っています」

変革への取り組み

多くの人々が同意するように、Global Fortune 500 社をオンプレミスのハードウェアからクラウドへ移行する作業は一大事業です。移行を開始した当時、Phillips 66 社は、その規模のワークロードをSAP S/4HANA といったクラウドに移行する企業の草分け的存在でした。

同時に、ビジネス機能を継続する必要がありました。統合と運用を効果的に行うためには、SUSESAPIntelAWS などの、テクノロジーを提供する企業の協力が不可欠であることは明らかでした。

この点では、以前とは大きく状況が異なっていました。内部データセンターは、運用目標を達成するために、各ベンダーの詳細情報の技術管理が必要です。今やクラウドサービスでは、より優れた信頼性の高いソリューションを提供するために、プロバイダーが連携する必要があります。SUSE と連携して、安全性と安定性に優れたS/4HANA クラウド・インフラストラクチャを提供することで、最適なソリューションを実装するAWSIntelSAP とのコラボレーションも可能になりました。

より機敏な機能を構築するための戦略的な人材再編成も実現しました。Phillips 66 社は、プロバイダーの専門的技術により、システムが機能し、稼働し続ける状況を確保したうえで、IT スタッフの主要業務を別の分野に移しました。クラウドに移行して以来、IT スタッフはビジネスのより戦略的な力として、技術的な課題ではなくビジネス上の課題に対処できるようになりました。

しかも、変化はそれだけではありません。

IT 部門の新たな機敏性に加えて、Phillips 66 社はビジネスの運用と機能の最適化にも重点を置き、需要の変化に速やかに対応できるようにしています。

「かつてないほど、ピアツーピアのコラボレーションが増えています」とBehounek 氏は言います。AdvantEdge66 により、ネットワークとコラボレーション・ツールの変革も達成できたため、新型コロナウイルスの感染拡大時に、Phillips 66 社は多くの活動をリモートで実行し、迅速に対応し、ビジネスへの影響を最小限に抑えながら市場状況に適応できました。その結果、Phillips 66 社は驚くほど容易に困難を切り抜けることができました。Behounek 氏は次のように述べています。「当社が行ったことは、単なるデジタルトランスフォーメーションではなく、ビジネスの変革です。私たちは皆、「この変革に取り組んで良かった」と言っています」