Kubernetes による製造の進化

ハイライト

  • 各手法を比較した場合、マイグレーション時 間が80% 短縮
  • アップグレード時間が80% ( 数日から数時間 に) 短縮
  • コスト削減( 現場のサーバー、アプリケー ションをデータセンターまたはクラウドに 移動)
  • 45 の地域と数百人の開発者に対応した、 グローバル一元管理プラットフォームを実現

製品

ドイツのハノーバー市に本社を置くContinental 社は、この150 年間で大きく成長し、世界的なブランドとなりました。テクノロジー企業である同社は、現在、59 の国と市場で事業を展開し、全世界で232,000人以上の従業員を擁しています。

Continental 社の製造インフラストラクチャ・チームは、最も革新的なテクノロジーの活用、アプリケーション・チームへのより良いサービス提供、イノベーションの推進という責務を負っています。Manufacturing Infrastructure Team Lead として12 年の経験があるRoland Paxián 氏は、テクノロジーのイノベーションについて長期的かつ世界的な視点を持っています。Continental 社の戦略を推進する主要目標は、「効率性の追求」、「最高の品質基準の維持」、「体系的かつネットワーク化された方法による目標達成」の3 つです。Paxián 氏が率いる製造チームは、この戦略こそが斬新なアイデアの考案から大量生産までにかかる期間の短縮に役立つと信じています。

概要

Continental 社の技術戦略を推進するための3つの主な目標は、「効率を高める」「最高の品質機銃の維持」「体型的且つネットワーク化された方法で目標達成する」ことです。Continental 社が斬新なアイデアの考案から大量生産までにかかる期間を短縮するのに大きな役割を果たし、これらの技術戦略目標達成のためにRancher との提携を決定しました。

コンテナへの道のり

Continental 社は常に先進的な組織であり、当然のことながら、デジタル・トランスフォーメーションとモダナイゼーションは大きな関心事です。しかし、製造業ではレガシー・インフラストラクチャのモダナイゼーションと、その中で使用されているすべてのソフトウェアの実際的な影響を過小評価することはできません。Continental 社は長年、仮想インフラストラクチャを運用しており、実際その方法が同社に適していました。しかし、徐々に管理と保守の問題が顕在化してきました。チームが新しい機能を実装したり、アプリケーションをアップグレードしたりしようとすると、大量の時間とリソースが必要になりました。

6 年前にコンテナが登場したとき、チームはインフラストラクチャ管理を効率化する機会と捉え、調査を始めました。コンテナ化の価値について本格的な議論を始めるまでに数年かかりましたが、いざ議論が始まると、チームは短期間でKubernetes がコンテナ化戦略を開始するために最も柔軟性が高い方法であると結論付けました。

2018 年には、計画が具体化しはじめました。その時点における最大の考慮事項は、アプリケーションをクラウドに移行するか、データセンターに残すかという問題でした。クラウドでKubernetes を実行するほうがシンプルなのは間違いありませんでした。AWS Azure の中でクラスター化するのは簡単だからです。しかし、一部の重要なアプリケーションでは、レイテンシが問題になることが明らかになりました。工場の機械で求められる応答時間はミリ秒単位です。したがって、一部のシステムはデータセンターに残しておく必要がありました。そのため、チームはハイブリッドクラウドとオンプレミスの手法を必要としていました。Kubernetes をオンプレミスとクラウドの両方で使用しようとしたら、ソリューションのエンジニアリングとサポートが必要になるため、時間がかかっていたはずです。Kubernetes には適切なコンテナ・オーケストレーション手法が備わっていましたが、Continental 社のPaxian 氏が率いる製造チームが求めていたのは、1 つのプラットフォームで複数のクラウドとオンプレミスのデプロイメントを並行して実行する方法でした。ここでRancher が注目されたのです。

Kubernetes をオンプレミスとクラウドの両方で使用しようとしたら、ソリューション・エンジニアリングとサポートが必要になるため、時間がかかっていたはずです。Kubernetes には適切なコンテナ・オーケストレーション手法が備わっていましたが、Continental 社のPaxian 氏が率いる製造チームが求めていたのは、1 つのプラットフォームで複数のクラウドとオンプレミスのデプロイメントを並行して実行する方法でした。ここでRancher が注目されたのです。

2019 年にチームが短期間のコンセプト実証(PoC) によってKubernetes の管理オプションをいくつか評価した結果、Continental 社の膨大な製造アプリケーションのモダナイゼーションと統合に最適なプラットフォームとして、Rancher が浮上しました。Rancher 2019 年後半に正式採用されて以来、Continental 社では数多くの製造チームからRancher への需要が高まっています。Paxián 氏の次の関心事は、世界中の数百のアプリケーション開発チームが、このプラットフォームを安全に利用できるようにすることです。

「Rancher を採用した一番の理由は、製造業に適した俊敏なアプリケーション・フレームワークを構築し、技術開発のペースについていけるようにするためです。クラウドネイティブ・アーキテクチャを構築することで、従来の手法を一掃して、革新性を高めたいと考えています」

Continental 社の課題

レガシーの変革

クラウドネイティブでコンテナを中心とした戦略を採用した一番の理由は、Continental 社の製造インフラストラクチャを俊敏なクラウドネイティブのプラットフォームベース・アーキテクチャへ変換する必要があったからです。ベンダーにかかわらずオンプレミスとクラウドのワークロードを一元化されたUI で同時に実行するには、マルチプラットフォーム環境が必要でした。

Continental 社のアプリケーション開発者にとって、変化はすぐには起こりませんでした。長年の間に、アプリケーションの導入と保守は多くのリソースを必要とするようになっていました。設計、構築、導入、管理をすべて手作業で行っており、新しい開発のたびにこの厳しいプロセスを繰り返していました。インフラストラクチャ・チームは、新機能の実装や単なるアプリケーションのアップグレードでも多くの問題に直面していました。アプリケーション開発者が新しいものを開発するために環境を必要としていても、その要求に応えるためには時間がかかり、イノベーションの足かせになっていました。

重要な点としては、多くの生産ラインが24 時間365 日体制で稼働していることが挙げられます。アプリケーションやインフラストラクチャのコンポーネントのアップグレードや問題解決が必要な場合に、サービスを停止すると会社に多額のコストが発生します。チームは、生産性に影響を与えずに製造アプリケーションを開発および保守できる環境を必要としていました。

このKubernetes ベースのインフラストラクチャ・プラットフォームをRancher で管理することで、プロジェクト・チームは非常に機敏でスケーラブルなアプリケーション・フレームワークを構築し、簡素化と管理コストの大幅な削減を実現しました。新しいコンテナ型アーキテクチャを採用したので、開発、テスト、および運用環境がすでに導入されている状態で、アプリケーションを別々のクラスターで実行可能です。新しいアイデアを試すために新しいコンテナを稼働させる場所が必要な場合は、数分で作成できます。

アプリケーションのアップデートや、機能の追加、保守の実行が必要な場合も、Rancher により、生産ラインを停止せずにそれらの作業を実行できます。アップグレード中の保守作業に伴うダウンタイムが不要になり、それに関連するコストも発生しなくなりました。アップデートは一元化され、数回クリックするだけでインストールされるため、管理の負担が軽減し、全体的な生産性が向上しました。Continental 社のチームは、管理時間が75% 短縮したと推定しています。このプラットフォームでは、新しいサービスの構築と導入にクラウドネイティブのアプローチを採用しているため、アプリケーションをマイクロサービスとして作成できます。そのため、オンプレミス環境とクラウド環境の間で高度な移行が可能になり、リソースの割り当てと拡張予測がしやすくなりました。

グローバル・インフラストラクチャ・プラットフォームの作成

インフラストラクチャ・プラットフォーム開発が完了したため、Paxián 氏が率いるチームは、世界中の45 の拠点に配置されている数百の開発者チームにサービスを展開することに力を注いでいます。このプロジェクトは急ピッチで進行しており、開発者はコンテナ化された新しいプラットフォームに1 つの画面からアクセスできるようになりました。

もちろんアプリケーションによって、クラウド用や、生産ラインに近いオンプレミス配置用など、その設計目的が異なります。Rancher で動作するこの新しいインフラストラクチャ・プラットフォームは、アプリケーション開発のための一貫したフレームワークを提供しますが、各チームが特定の条件に合わせて設定やセキュリティ対策を行うことも可能です。そのためチームはRancher UI を介して、これらのクラスターをあらゆる環境に導入しながら実行することができます。

これは分散したチームにとって大きなメリットです。柔軟なアプローチを取ることで、チームは製造業のユースケースを明確に念頭に置いてアプリケーションを開発できるだけでなく、現地の規制にも準拠することができます。たとえば、規制の厳しい地域や、生産ライン内で処理を行わなければならない場合は、データセンターの使用を選択できます。

わずか6 か月で、チームはヨーロッパとアジアにおける3 つの地域と9 つの製造拠点に、このプラットフォームを導入しました。Paxián 氏は、年末までに導入拠点を45 か所増やす予定です。Continental 社のように世界中で人材を抱える企業にとって、それが非常に重要な意味を持つと信じているからです。所在地も事業部もバラバラだったチームが、初めて統一感と一貫性のある方法で一緒に仕事できるようになります。さらに重要なのは、これをルールベースのドメイン内で安全に実行できることです。Continental 社は、インフラストラクチャ管理をプラットフォームで行うアプローチを採用することで、コラボレーションと共同運用が可能な、拡張性と俊敏性に優れたフレームワークを構築しました。そのようなことは、これまで不可能でした。

Continental 社の戦略の成果は目覚ましいものがあります。共通の方法の下で協力し合うことで、プロジェクトがより早く完了し、開発が定義されたルールに従って、一貫性を持って進められるようになりました。このプラットフォームは1 年中24 時間いつでもアクセス可能で、アクセスはRancher で厳重に監視されています。

長期的なコスト削減

製造業では、大規模で多くのリソースを必要とするサーバーが作業現場の隣に設置されていることがよくあります。しかし、そうしたサーバーは特定の機械に合わせて設計されているため、ランニングコストが高く、環境面への対応も遅れています。長期的には、製造アプリケーションをよりクラウドネイティブなものに再設計し、インフラストラクチャ・チームがアプリケーションをクラウドやデータセンターに移行することで、こうしたコストを削減できます。

生産ラインではまだコンピューティング・リソースが必要ですが、K3s のようなIoT ソリューションを使えば、軽量版のKubernetes を機械上で直接実行できます。ハードウェアの変革には時間がかかるのが常ですが、今のうちに適切なインフラストラクチャを整備しておくことで、より広範な変革への道がスムーズに開けるとPaxián 氏は考えています。