本号のトピック
SUSECON 2016プレビュー: この秋、話題独占のテクノロジ
Kent Wimmer
Kent Wimmerは、SUSEの戦略イベント担当ディレクターです。これまでにセールス、マーケティング、アライアンス担当、販路管理などSUSEのさまざまな職務を20年以上にわたって歴任してきました。現在や将来のお客様とパートナー様に直接関わることに喜びを感じ、SUSEソリューションのメリットを楽しく学べる機会を提供しています。自由な時間があるときは、妻と7人の子供と一緒に過ごしたり、青年部、教会、政治団体でボランティア活動を行ったりしています。
秋が大好きです。紅葉はいいですね。きりっとした爽やかな朝の空気の中を歩くのも好きです。目が覚めて頭が働き始めます。趣味で夏の間ずっと手を掛けていた家庭菜園が実を結び、野菜を収穫できるのもうれしいことです。そして何よりも、SUSECONがもうすぐ始まるのがとてもうれしいです!
SUSECONは、この季節にふさわしい、目の覚めるような画期的な内容と、新たな可能性を切り開くアイデアにより、業界の代表的なカンファレンスとなっています。SUSEのお客様、パートナー様、そして一般のオープンソース愛好家の皆様にSUSEとアップストリームプロジェクトの新しいオープンソースソリューションを紹介する、革新に満ちたイベントです。プロジェクトコントリビュータと企業ユーザが一堂に会し、これまでにない世界が広がります。
毎年、SUSECONの内容が素晴らしかったとのご意見を参加者の皆様からいただいています。扱うトピックが幅広いことに加え、SUSEのエンジニア、製品マネージャ、お客様、パートナー様から具体的に話を聞くことができる点が、高く評価されています。SUSECONのプレゼンテーションでは、各トピックの核心にまで触れます。プレゼンテーションの説明が不十分だった場合には、どの参加者も担当者に質問できます。セッション内容は、SUSE製品だけでなく、それらの基盤となるテクノロジやプロジェクトにも及びます。その結果、SUSECONは業界を代表するテクノロジカンファレンスとなっています。
SUSECON 2016では、150以上のセッションを予定しています。その一部をご紹介します。
- 75のテクニカルチュートリアル: 製品とテクノロジの両方をカバーします。参加すれば、製品やテクノロジの違いがわかります。
- SUSE製品チュートリアル: SUSE Linux Enterprise、SUSE Manager、SUSE OpenStack Cloud、SUSE Enterprise StorageなどのSUSE製品の最新情報
- プロジェクトとテクノロジのチュートリアルセッション: Ceph、CephFS、Cloud Foundry、Docker、Kubernetes、KVM、LDAP、Manila、OAuth、openATTIC、OpenDOC、OpenStack、RADOSGW、Salt、SSSD、Sudoersなど
- パートナー製品のチュートリアルセッション: Active Directory、CentOS、Oracle (12cおよびRAC)、RHEL、SAP HANA。SUSEエコシステムにおけるスポンサーソリューションの位置付けを紹介する各種スポンサーセッションも開催
- 幅広いトピックのテクニカルセッション: ベンチマーク、ビッグデータ、ブロックミラーリング、コンテナ、DevOps、ディザスタリカバリ、高可用性、HPC、ハイパーコンバージェンス、IoT、ライブパッチ適用、モジュール、モニタリング、パブリッククラウド、セキュリティ、システム強化、VMライフサイクル管理など多数
- 100時間の実践型トレーニング: SUSE製品に加え、Cloud Foundry、Docker、Kubernetes、Salt、SSSDなどのテクノロジを扱います。
- 22のフューチャーセッション: SUSEのエンジニアや製品マネージャからSUSE製品の今後の展望について直接聞くことができます。プレゼンテーションでは、製品開発のロードマップを説明し、次世代のSUSEエンタープライズソリューションに組み込まれるアップストリーム要素を紹介します。参加者はお気に入りのテクノロジについて担当者に直接意見を言うことができます。
- 16のケーススタディ: SUSEのお客様やパートナー様が、自社環境でのSUSEソリューションの構築と実装で得た役立つ情報を紹介します。次のようなトピックが取り上げられます。
- SAP HANAの導入と高可用性の調整
- メインフレームでのSLESへのマイグレーション
- Kubernetesによるクラウド導入
- SUSE OpenStack CloudでのNFVの実装
- レガシーSAN環境から分散型Cephクラスタへのマイグレーション
- データセンターからエンタープライズパブリッククラウドへの転換
- その他、優れたお客様事例を多数紹介
- 16のビジネスレベルセッション: 馴染みのないテクノロジの概要や、オープンソースコミュニティで議論の的になっている問題に対するSUSEの立場などを紹介します。これらのセッションは、新しい議論に参加したり、テクノロジについて多面的に理解したりできる最適な機会です。
SUSECONで特定のトピックについてさらに理解を深めたい場合は、4つのプレカンファレンスワークショップがあります(追加料金がかかります)。これらのワークショップは、1日かけて行う実践型トレーニングです。定評あるSUSEトレーニングチームの専門家が指導します。4つのワークショップは次のとおりです。
- SUSE Linux Enterprise Serverのセキュリティ保護
- SUSE Enterprise Storage 3でのCephクラスタのインストールと設定
- 高可用性のSUSE OpenStack Cloudの導入
- SUSE Manager 3の新機能
SUSECONは、ここでは紹介しきれないほど充実した内容となっています。詳細については、www.susecon.com/sessions.htmlにアクセスして、セッションカタログをご覧ください。
SUSECONでは、オープンソーステクノロジについて学ぶだけでなく、学んだ知識を世界に証明することもできます。SUSECON参加者は、Linux、ストレージ、OpenStack Cloud、Linux管理に関するオンサイトSUSE認定試験に登録できます。試験料金はカンファレンス料金に含まれています。試験セッションの定員には限りがあるため、お早めにご登録ください。
お住まいの地域が初秋の朝を迎えたら、外に出て爽やかな空気を大きく吸い込んでみましょう。爽快な気分を味わい、頭が働き始めたら、11月7日~11日にワシントンD.C.で開催されるSUSECONのことを思い出してください。専門家に直接会うことができ、非常に刺激的で価値の高い、業界最高のカンファレンスです!
ビジネスの機敏性をサポートするDevOpsによって、あらゆる企業でビジネスの関連性を維持

Thomas Di Giacomo
SUSE CTOのThomas Di Giacomoは、Software-DefinedとクラウドベースでITを基盤とする企業の未来像を描いています。Di Giacomoは、SUSEに加わる前はSwisscom Hospitality ServicesのCTO兼革新担当副社長、Hoist Group (サービス業界とヘルスケア業界向けの世界的なITサービスプロバイダ)のCTOを歴任してきました。オープンソースプラットフォームに関する専門知識を持ち、グローバル情報システムおよびテクノロジの開発とサポートを熟知しています。
はじめに
目まぐるしく変わる今日のデジタル社会において生き残り、繁栄し、競合他社をしのぐには、ビジョンを持ちながら、内外の変化に迅速に対応することが不可欠です。
現在、ほとんどの企業の成功は、直接的にも間接的にも、ソフトウェアとアプリケーションに左右されています。これらは業績全体に大きな影響を与えます。そこで、ソフトウェアとアプリケーションの開発、提供、保守の適切な文化、プロセス、ツールが、差別化を図って各市場で成功を収めるために必須となっています。
ビジネスの機敏性をサポートするDevOps
ビジネスに機敏性をもたらすには、ソフトウェアとIT (たとえば、セールス/マーケティングアプローチやサービス/ビジネスモデルの検討に利用)だけでは不十分です。アプリケーションも、あらゆるビジネスの成功に欠かせません。現在、ソフトウェアとアプリケーションの面からビジネスに機敏性をもたらす方法として、アイデアから市場投入まで(そして、延々と続くこの繰り返しにおいて)、DevOpsが主流です。まず理解しなければならないのは、DevOpsが機能するためには、適した文化、適切なツール、提供/管理プロセスをバランスよく組み合わせることが必要だということです。どれが欠けても、DevOpsは十分に機能せず、場合によってはまったく機能しません。
この記事では、ビジネスの機敏性をサポートするDevOps (エンタープライズDevOps)に必要なツールについて取り上げます。DevOpsに必要なプロセスや文化はある程度は一般化できますが企業/状況ごとに異なるため、ここではツールに焦点を絞ります。文化やプロセスについて詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。
SUSEは創設以来、真のオープンソース企業として活動してきました。ソフトウェア開発に本格的に取り組む企業として、DevOpsという用語が誕生する前から、DevOpsの原則を取り入れています。DevOpsプロセスをサポートするツールの構築において、これまで多くのことを学んできました。そして、これからもずっと学び、改善し続けていきます。これらのツールは、オープンソースの精神と伝統に従って、さまざまなコミュニティが共同開発したもので、誰でも利用できます。次の図は、これらのツールなどを使用してDevOpsの各フェーズを進める方法を示しています。
フェーズとツール
ビジネスの機敏性とニーズをサポートするDevOpsの各フェーズについて見ていく前に、まず各フェーズの前提条件となるセキュリティ、相互運用性、信頼性について考えることが重要です。個々のタスクや全体的なタスクの自動化も、DevOpsアプローチの基本的要素です。各フェーズを可能な限りシームレスにすることで、フェーズ間の衝突を減らし、プロセス全体を高速化します。
では、一般的なDevOpsプロセスをフェーズごとに見てみましょう。DevOpsプロセスの表現方法やフェーズへの分割方法は状況によって若干異なりますが、一般的なDevOpsプロセスは無限大記号で表されます。DevOpsプロセスはクローズドループであるため、各フェーズの順番は特に重要ではありませんが、ここでは「計画」から見ていきましょう。各フェーズは可能な限りシームレスにつながっているのが望ましいことに留意してください。多くのツールが複数のフェーズにまたがっているのはそのためです(各フェーズは厳密に区切られているわけではありません)。

計画
計画フェーズ(機能/アイデア/プロジェクトの管理から、問題/バグ/一般情報の共同追跡まで)で利用できるツールは、もちろんオープンソースも含めて、数多くあります。たとえば、Trello、Taiga、Jira、Redmine、Mantis、Request Tracker、Bugzillaなどです。
コード
当然ながら、開発者には、アプリケーションを実行する際の基盤となるOSやプラットフォームでサポートされるプログラミング言語が必要です。DevOpsでは、これはアプリケーションを開発環境と運用環境で同じように実行できることを意味します(コンテナの検討が求められるのはこのためです)。アプリケーションには、何らかの統合開発環境が必要になります(「必要ない」と主張する開発者もいるでしょうが、ここではその議論には触れません)。とりわけ重要なのが、継続的な共同開発のためのバージョン管理(SCM: Source Control Management)です。
OS、VM、パブリッククラウド、コンテナホストに関しては、プログラマにとって最適な選択肢は間違いなくLinuxです。SUSEなどが提供するエンタープライズLinuxディストリビューションやコミュニティベースの無料ディストリビューションの開発者プログラムを使用できます。たとえば、openSUSEの場合、Leapとそのローリングリリース版のTumbleweedでは、いずれもSUSE Linux Enterpriseと同じコードベースが使用されているため、バージョン間を自由自在に移行でき、DevOpsアプローチ全体が円滑になります。対象アーキテクチャ(x86、Aarch64、z、Powerなど)向けのコードを構築できるかどうかについて、開発環境を事前に確認することも重要です。ホストサービスとなるミニマル/リーン/マイクロOSも重要になります。たとえば、SUSE Linux Enterprise JeOSなどです。
SCMに関しては、CVSやSubversionに馴染みのある開発者もいるかもしれません。しかし、多くの開発者にとって最も馴染みのあるSCMツールはおそらくGitでしょう(問題追跡機能を搭載したWebベースの関連ホストサービスのGithubやGitlabを通じて知っている人も多いはずです)。
構築
コーディングが完了したら、次にアプリケーション/パッケージ/イメージを構築します。SUSEなど多くの企業が、自社のために、そしてオープンソースコミュニティ全体のために、この構築フェーズに積極的に取り組んできました。SUSEが大な労力を注いできたOpen Build Serviceは、一貫した方法でソースからパッケージを構築して配布するための汎用システムです。幅広いOSとハードウェアアーキテクチャに対応しています。OS/ホストイメージを作成する際には、Open Build ServiceをKiwiやSUSE Studioなどと併用して、スタンドアロンまたはパブリック/プライベートクラウドのサービスを構築および導入できます。また、Open Build ServiceとPackageHubを併用して、対応するエンタープライズLinuxディストリビューションへの統合を実行することもできます。
テストと継続統合/継続導入
DevOpsのメリットを活用し続けるためには、継続的なテストと統合をプロセスに含める必要があります。たとえば、OpenQAは、GUIアプリケーション、ブートローダ、カーネルのための自動テストフレームワークです。これは、従来のスクリプトテストや出力チェックが困難な場合に使用できる補完的なツールです。継続統合/継続導入で使用される代表的なプラットフォームは、Jenkinsです。その他にも、Travis CIやConcourseなどのソリューションがあります。
継続導入と設定の自動化
導入と設定の自動化も、重要なフェーズです。このフェーズでもさまざまなソリューションを利用できます。Chef (SUSE OpenStack CloudのCrowbarなどと併用)、Puppet、Juju、Ansible、Salt (SUSE Managerに統合)など、既存のアーキテクチャや技術/運用/ビジネスニーズに応じて適切なツールがあります。
運用とモニタリング
DevOpsでは、導入が完了したら、アプリケーションを運用または管理します(ここでコンテナとリソースオーケストレーションが重要な役割を果たします)。そして監視することで、DevOpsプロセスを継続的に改良し、パフォーマンスの向上、問題の修正、欠点や新たな要件への対応へとつなげます。たとえば、IcingaとSUSE Managerすることでシステムの動作を把握でき、SUSE Enterprise Storageを使用することでデータ配置を自動調整してアプリケーションのパフォーマンスを向上できます。コンテナ化した環境などを把握したい場合は、従来のNagios、Zabbix、Monit、Prometheus、Magnum (SUSE OpenStack Cloudから使用)などのソリューションが多数あります。その他にも、アプリケーションのパフォーマンスに焦点を合わせたNew RelicやGraphite (データ解釈のための分析機能Logz.ioまたはELKを搭載)などのソリューションもあります。
まとめ
DevOpsに熟練した企業でも、これから導入しようとしている企業でも、ビジネスの機敏性は今後ますます重要になっていきます。そして、機敏性の向上に役立つツールはますます高度になっていきます。そのため、業務部門へのアプリケーション提供方法を常に適応させ改善できるように備える必要があります。SUSEは最近、Tyro PaymentsでのDevOpsの導入と市場投入期間の短縮を支援しました。どのようにしてTyro Paymentsがビジネスの機敏性を向上させたかについて、事例をご覧ください。
アプリケーションの継続統合/継続導入のように、DevOpsのコンセプトを採用して、それを実装するのは、終わりのない旅のようなものです。少なくとも現時点では、業界にも、アナリストにも、その終わりは見えていません。次に取るべきステップは、ビジネス、既存の文化、ツールとプロセスなど、それぞれの状況に応じて異なります。SUSEがお客様固有のニーズを支援する方法については、またの機会に説明させていただきます。
今後の記事では、DevOpsとビジネスの機敏性の向上におけるコンテナとPlatform-as-a-Serviceの役割を紹介します。コンテナとPlatform-as-a-ServiceはDevOps戦略の有効かつ重要な要素であるため、近いうちに自分の考えを披露したいと思っています。
Linux 25周年
Bryan Lunduke
Bryan Lundukeは、コミュニティと開発業界におけるSUSE支持者、openSUSE委員会のメンバー、Network Worldのテクノロジジャーナリスト、オタク向けの本の著者、ポッドキャスター、面白動画(多くはLinux関連)の作成者です。
私は25歳になったとき、成熟したと思いました。賢くなったと思いました。多くのことを達成したと思いました。
しかし、大間違いでした。
四半世紀(という言い方の方が「25年」よりもはるかに立派に聞こえます)も生きてきたにもかかわらず、私の人生はまだ始まったばかりでした。25歳から30歳までの5年間には、それまでの25年間よりも多くのことを学び、多くの冒険を経験しました。そしてそれから、経験と冒険の量は飛躍的に増しています。
現在、私は37歳です。これだけは自信を持って言えます。私は成熟していません。賢くなっていません。そして、25歳のときと比べれば多くのことを達成したのは間違いありませんが、それでもまだ始まったばかりです。
2016年8月25日に、Linuxは25歳を迎えました。四半世紀です。100歳まで4分の1が過ぎました。
この間に、Linuxカーネルは数え切れないほど多くのコンピュータアーキテクチャに移植されています。小さな386から始まり、ARM、DEC Alpha、68k、x86-64、MIPS、z Systems、RISC、SPARCなどをサポートするようになっていきました。
1991年の最初のリリースでは、コードはわずか10,000万行あまりでした。それが現在、 バージョン4.7に含まれるコードは約2,200万行にもなります。2,200万です。これは、ワシントン州、オレゴン州、アイダホ州、モンタナ州、ユタ州、ネバダ州、ニューメキシコ州の合計人口に匹敵する数字です。
これだけのコードが、12,000人以上の人々によって書かれてきました。12,000人です。完全にオープンで開発され、世界中に配布されています。Linuxカーネルプロジェクトの規模と範囲(と期間)は、まさに伝説的です。
カーネルコードの総行数が現在の数分の1だった2011年には、Linuxカーネルの再開発(クローズドな商用開発モデルを使用)に30億米ドル以上のコストがかかると推定されていました。現在よりもコード行数が数百万行も少なかった5年前のことです。
Linuxは、25年前に、あるフィンランド人のIntel 386 CPU搭載デスクトップPC上で産声を上げました。現在、Linuxはコンピュータの世界において圧倒的な地位を築いています。デスクトップGNU/Linuxベースシステムを含めず、インターネットを構成するすべてのサーバ、ルータ、デバイスを完全に無視して、Android (Linuxカーネル上で動作)だけを取って見ても、販売されたコンピューティングデバイスの市場シェアの半分以上をLinuxが占めています。
Linuxプロジェクトは、四半世紀にもわたって生き延びてきただけでなく、圧倒的地位を築くまでに繁栄してきたのです。1991年に存在した他のOSの成り行きを見れば、Linuxの成功がいかに驚異的であるかがわかります。
Microsoftは、まだWindows 3.1をリリースしていませんでした。そうです。当時は、Windows 3.0 (MS-DOS 5.0上で実行)がMicrosoftの最先端OSでした。Windows NTが登場したのはこの2年後です。
Appleはどうでしょうか。MacOS System 7をリリースしたばかりでした。OS Xではありません。MacOS 8でも9でもありません。System 7です。
そして、 Commodore 64がまだ製造されていました。本当です。AmigaコンピュータやMacintosh Classic (モニタはモノクロ)を新品で購入することもできました。Apple ComputerによるMacintosh Classicの製造はこの後2年近く続きました。
Linuxが繁栄してきた間にどれだけ多くのOSカーネルが登場しては消えていったかを考えると、驚くばかりです。なんと、「Apple社」がまだ「Apple Computer社」だった頃からLinuxはあったのです。
そして何よりも驚異的なのは、1992年に創業したSUSEがごく初期の段階(Linux 1.0 がリリースされる数年前)からLinuxに関わっていることです。LinuxのそばにはほとんどいつもSUSEがいて、Linuxを(必要とあらばフロッピーで)配信してきたのです。
これまでのLinuxの足跡と、その間に登場しては消えていった競合製品を見ると、Linuxは成熟し、賢く、多くのことを達成したOSと言えます。そして、Linuxが私と同じような歩みをたどるのであれば、これからの5年間にこれまでの25年間とは比べものにならないくらい飛躍するでしょう。
Software-Defined Data Centerへの移行
David Byte
David Byteは、 SUSEのIHVアライアンスチームの上級テクニカルストラテジストです。1999年からストレージ事業の顧客対応に従事し、同事業に関する豊富な経験を有しています。パートナー様や社内関係者と協力して、最先端のテクノロジソリューションの市場投入に取り組んでいます。仕事を離れては、オクラホマ州ジェンクスの自宅で妻と6人の子供とともに過ごしています。
Larry Morris
Larry Morrisは、SUSEのエンタープライズSoftware-Defined Storage製品ラインを担当するシニアプロダクトマネージャです。2014年にSUSEに加わりました。エンタープライズストレージ製品開発に30年以上の経験があります。
最近のアナリスト調査が示すとおり、この記事を読んでいる皆様の多くは、Software-Defined Data Center (SDDC)のメリットを認識していることでしょう。調査回答者の実に75%が、今後4年以内にレガシーデータセンターからSDDCへの移行を開始する予定であると回答しています。これだけ多くの回答者が移行を予定しているのには理由があります。レガシーデータセンターは、柔軟性に乏しく、高コストで、プロセスに縛られ、応答性が低いのです。レガシーデータセンターを利用する組織は、コンピューティング、データ、ストレージのサイロ化により、新しいアプリケーションの革新と導入、既存アプリケーションの適切な拡張、ビッグデータなどの新テクノロジの活用が困難になるだけでなく、最新の業務遂行をサポートするITインフラを利用できません。
対して、SDDCは、機敏性があります。サイロ化を生じさせることなく、従来のデータセンターよりも50~60%低いコストで運用できます。技術革新を促進する最新のDevOpsモデルやクラウドコンピューティング機能といった変化するビジネスドライバへの迅速な対応が可能です。柔軟性もあります。組織は、新しいハードウェアを追加するだけで、データセンターを拡張できます。古いハードウェアの機能を新しいマシンにマイグレートすれば、古いハードウェアを撤去できます。
これだけメリットがあることを考えると、すでに多くの組織がSDDCを導入しているはずだと思うかもしれません。しかし、レガシーデータセンターからSDDCへの移行を予定している組織の多くはまだ実行していません。それには当然とも言える理由が2つあります。レガシーデータセンターに多額の投資を行ってきたため、そして慣れ親しんだレガシーデータセンターの運用/管理プロセスから離れたくないためです。こうした理由からSDDCへの移行を躊躇している組織に対して、SUSEは、これまでの投資や慣れた親しんだ管理プロセスを犠牲にすることなくSDDCを導入できる方法を提供しています。
SUSE Enterprise StorageでSDDCの導入に着手
SUSE Enterprise Storageは、オープンソースSoftware-Defined StorageテクノロジのCephを搭載しています。業界標準のハードウェアで動作する高可用性のスケールアウト分散型ストレージクラスタをベースに、ブロック、ファイル、オブジェクトインタフェースが統合されています。SUSE Enterprise Storageは、iSCSIおよびRBDプロトコル(ブロックストレージ、Amazon S3、OpenStack Swift用)、RADOS (オブジェクトストレージ用)、Posix準拠のファイルストレージ(CephFS)をサポートします。この柔軟性の高さにより、レガシーストレージ環境に最適なソリューションとなっています。SUSE Enterprise StorageではすでにiSCSIがサポートされていますが、さらに今後のリリースでファイバチャネルもサポートされる予定です。CephFSファイルシステムをベースとすることで、今後のリリースではCIFSおよびNFSへのアクセスも可能になります。その結果、Software-Defined Storage (SDS)を従来のデータセンターに直接導入して、SDSをレガシストレージと同じくらい簡単に管理できるようになります。
SDSを徐々に学ぶ
SDSを既存のデータセンターにシームレスに統合して、さまざまな方法を通じてその一部始終を学べます。たとえば、SUSE Enterprise Storageを導入すれば、業界最新のエンタープライズバックアップソフトウェアアプリケーションを使用して、SDSをアプリケーションデータのバックアップターゲットにすることができます。
また、SUSE Enterprise Storageは、大容量の非構造化データファイル(動画、画像、その他の映像音声メディアなど)の保存にも便利です。Cephは、大容量ファイルの保存においてOpenStackで最も広く使用されているストレージインフラとなっています。そしてiSCSIプロトコルのサポートにより、Hyper-V/VMwareイメージのための堅牢な第2ストレージ場所となります。
これは、既存のインフラにSDSを導入した場合の使用事例の1つに過ぎません。
既存投資の減価償却に伴うSDSへの移行
従来型のストレージインフラに多額の投資を行っていれば、それを十分に回収したいと考えるのは当然です。しかし、従来型のインフラをいつまでも使い続けることはできません。組織が抱えるデータの量は平均で年間40%増加しています。一般的なレガシーストレージにはこのデータ量の増加に対応できるだけの拡張性がありません。そのため、いずれはレガシーシステムのアップグレードを迫られることになります。入念に計算を進めてきた組織では、このアップグレードの時期とハードウェアの入れ替え時期が重なるはずです。そして、SUSE Enterprise Storageを通じてすでにSDSに慣れ親しんでいれば、レガシーシステム対応の現在のストレージを、より簡単に低コストでSDSに移行できます。
つまり、通常のハードウェア入れ替え時期に合わせてSDSシステムのストレージを導入することで、多大な労力とコストを伴う大がかりなアップグレードを回避できるのです。
1つは完了、残りは2つ
SUSE Enterprise Storageがあれば、通常のハードウェア入れ替えの一環としてSDSに移行できます。つまり、その他のデータセンターコンポーネントをSDDCに移行する際の作業が、その分軽減されます。
認定の最新情報
Kay Tate
Kay Tateは、SUSEで独立系ソフトウェアベンダ(ISV)プログラムマネージャを務め、主要な垂直産業およびカテゴリにおけるISVによるSUSEプラットフォームのサポートを推進しています。IBMで15年間にわたってUNIXおよびLinuxのISVと連携し、こうしたISVを対象としたプログラムを開発し、2009年からSUSEに勤務しています。SUSEパートナーソフトウェアカタログ、セールス担当者から要望のあったアプリケーションの採用、パートナー戦略の推進、SUSEのプロセスおよびISVのためのPartnerNetプロセスの合理化などを担当しています。
SUSEパートナーソフトウェアの認定
本号では、SUSE Linux Enterprise Server 12などを対象にした、長年にわたるパートナー様の製品のアップデートや新テクノロジを紹介しています。
主要な管理パートナー様のSaltStackが、SUSE Linux Enterprise Server 12向けの新しいエンタープライズ製品を発表しています。詳しくは、こちらをご覧ください。
半導体設計からソフトウェア開発までを担う主要なEDAパートナー様のSynopsysが、SUSE Linux Enterprise Server 12のアップデートをさまざまなアプリケーションに導入しています。詳しくは、こちらをご覧ください。
IBMが、Tivoli Monitoring Suiteの主要コンポーネントをSUSE Linux Enterprise Server 12でアップデートしています。アップデートされたIBMブランドの一例については、こちらをご覧ください。